会長あいさつ
ご挨拶
日本社会科教育学会
会長 唐木清志
いつの時代も、社会科は変革を求められてきました。日本社会科教育学会の役割は、その変革の求めに応じ、望ましい社会科の在り方を追究することに他になりません。一方で、望ましい社会科の在り方を展望し、社会科の変革を求めていくこともまた、日本社会科教育学会の大きな役割であると考えています。会員数が増加し、会員の皆様のニーズや研究関心も多様になっていく中で、これからの学会には、この多様性を力に換え、社会に向けて様々に発信していくことが求められています。学会のさらなる発展を期して、皆様とともに最善を尽くしていく所存です。
さて、日本に社会科が誕生したのが1947年、その5年後の1952年、日本社会科教育学会が発足しました。1953年3月に第1号が刊行された日本社会科教育学会の機関誌『社会科教育研究』も、2025年3月の刊行で、第154号を数えています。また、ほぼ年に一度開催されてきた全国研究大会も、2025年には第75回を迎えています。これだけ継続的に、様々な学会活動を通じて、日本社会科教育学会は社会科の発展に尽くしてきたわけですが、まだまだ社会科には数多くの課題が残されています。課題が残されているどころか、新たな課題が次々と発生しているのが現状です。日本社会科教育学会にはこれからも、課題解決への努力が大いに期待されています。
課題解決の一助として、従来から実施してきた機関誌の発行や全国研究大会の開催、各種委員会が企画・運営する研究会の実施を、さらに充実させていくことが必要です。また、学会が編集し刊行する各種図書、例えば『社会科教育辞典(第3版)』(2024年)などのような図書を、社会のニーズを的確に捉え、必要に応じてこれからも刊行していくことが求められます。そして、こうした様々な取り組みを実施するにあたり、ぜひとも念頭に置きたいのが、会員の皆様がそれぞれの取り組みにアクセスしやすい環境を整えていくことです。2025年度より、学生会員への年会費が一般会員と異なって低く設定されたことなどは、その取り組みの具体例です。また、随分と日常的になってきオンラインを通じての研究会への参加について、今後もそれを積極的に進めて、会員の皆様が学会活動にアクセスしやすい環境を整えていきたいと思います。そうした環境整備を通じて、ダイバーシティ&インクルージョンに基づく学会運営を進めることを考えています。
学会活動への関与を通じて、会員の皆様の社会科教育研究が益々発展することをご祈念申し上げます。そして、その研究の発展が延いては、児童生徒の持続可能な社会の創り手の成長へと結実し、この社会が誰もが安心して暮らせる社会へと変革されることを期待しています。最後に、日本社会科教育学会が魅力ある学会として皆様から評価されるよう、皆様のお力をお借りしながら、学会の基盤強化とさらなる発展を考えておりますので、引き続きご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。